「ナチ・プロ」の正体とは? 人間をまるでモンスターのように狩り、バグのように修正しようとする人たち【仲正昌樹】
技術による支配の全面化に関するアンダースの議論は、ナチス国家とホロコーストの関係については誇張しすぎのようにも思えるが、ネットによって人間が人間を見る見方が大筋で規定され、ネットで流布している出来合いの言説を“自分の自発的な意見”として受容する現代の動物化した人たちの在り方にはかなり当てはまるように思える。ナチ・プロ現象はその典型である。彼らは、ネット上の流言飛語に踊らされ、ナチス化の恐れのある危険因子(ウィルス=悪質なミーム)を取り込んでしまったヒトたちを、まるでバクを除去するように駆除する作業に集団で従事している。自分たち自身が、ネット上の言説と同化して、ナチ・プロという型にはまった“主体性”を発揮しているという自覚は一切持たないまま。
「〇〇という悪を生み出す危険因子Xを駆除する作業に従事する▽▽というタイプの人間は、自由と正義の側にいる」ことを保証する言説に感化され、自分自身がゲームのキャラのようになってしまう人間が増えている。それが、多数の不毛なキャンセル・
文:仲正昌樹